流星のお菓子の話

スペシャリテ「流星」
Jun 29、2023
スペシャリテというと昔から作っているものや、思い入れのあるお菓子。あとはコンテストで賞を獲ったものだったりしますよね。今回、流星というお店でシェフとしてやるにあたって、自分を表現するというよりはお店を表現するお菓子をスペシャリテとして置きたいと思いました。まず1点は珈琲に合うことです。使う素材は珈琲に合うもの、そしてその中でも余り個性的になり過ぎず多くのお客様に食べていただけるもの。2点目は流星がどんなお菓子を作っていくかを表現したお菓子。個性的なお菓子を作りたいというよりは分かりやすい味、シンプルな味でクオリティが高いというところを目指しています。 「同じショートケーキなら流星で買う」「流星のケーキはなんか美味しいんだよね」そんなふうに思っていただけるのを目指しています。口溶けで味の出るタイミングを考える。これは味をはっきり感じさせるためによく使います。同じ味でも複数の素材を使うなど奥行きを出す。これはシンプルな構成でも、単調にあっさり終わらせてしまわないようによく使います。食感で食べやすくする。これはものによりますが、インパクトの強いお菓子を食べる際に食感を入れることで飽きさせないようにしています。こういうのを分かりやすく伝えられるお菓子。作っているお菓子は全てそういうことを考えているのですが、それをもっとも分かりやすくしたお菓子を作ってみよう!と思ったわけです。そうすれば珈琲にも合うし、好みを選ばないので手にとってもらいやすく、さらに流星で作っているお菓子を分かってもらいやすい。 「こういうお菓子好きだな、 他のも買ってみようかな。」そう思ってもらえればいいなと思いました。 Instagramより詳しくはこちら   「こういうお菓子好きだな、 他のも買ってみようかな。」と思っていただけるように流星のお菓子を出来るだけ分かりやすく表現してさらに珈琲と合うお菓子。これがスペシャリテ『流星』に求めるものでした。素材としては珈琲との相性となるべく個性的になりすぎないもの。口溶けも分かりやすく伝えたいので口溶けの早いもの、口溶けの遅いもの、固形物の3パターンにしようと思いました。そこで決めたものが、バニラのムース、キャラメルのガナッシュ、ペカンナッツのダコワーズとクランブルです。バニラのムース生クリーム以外に牛乳も使い乳脂肪を少なめにしてさっと溶け広がるように。ゼラチンのプルンとした食感はあまり求めてないので、ショコラブランも入れて保形してますが、お持ち帰り頂けるギリギリの保形力を目指しました。またバニラにはマダガスカル産のクリアですが香りの強いペーストとモンレニオンバニラというバニラの香りを凝縮したエキストラクトを使用しています。香りや香りの伸びに違いがあり、合わせることで生まれるブレが奥行きのある香りを感じさせてくれます。キャラメルのガナッシュも同じムースなどでも口溶けを変えたりしますが分かりやすくということでガナッシュにしました。もちろんクリームやムースより後にきます。流星のお菓子はしっかりした味してるなと思っていただきたいのでしっかりビターに!甘味は色んなところで足せますが苦味は他で補えないのでしっかり焦がします。ペカンナッツのダコワーズペカンナッツはナッツの中でも油脂分がかなり多いナッツになります。クリーミーで甘く、香ばしくナッツらしい香りも強いペカンナッツは、キャラメルのガナッシュのインパクトの中からでもしっかり感じられることと、油脂分が多いので珈琲を飲んだ時に口からスッと消える感じがとても分かりやすく良いです。クランブルザクザクとした食感が特徴のクッキー生地濃厚なキャラメルガナッシュや油脂分の多いペカンナッツを使っているので食べ進めやすくするための食感です。珈琲と合うように濃厚な材料が多いですが珈琲苦手な方もいらっしゃいますし、珈琲と一緒に食べるばかりではないですので珈琲が無くても食べ進めやすい工夫はもちろんさせていただいています(^^♪それぞれがしっかりとした存在感を感じられる組み立てになっています。流星のお菓子らしさは出せてるかなと思います。まだ食べたことない方は是非。誕生秘話とはいきませんがこんなイメージで流星を作りましたというお話なんですがちゃんとお答え出来ていれば幸いです。  Instagramより詳しくはこちら